17×論文
コモンズ・マーケティングについて連載中でしたが、とりあえずこれまでの広告周辺の議論をまとめて学会に出したので読んでみてください。発表は来年の5月頃です。
■コモンズとパーミッションによる両輪駆動マーケティング
http://userhost-1.cmo.jp/~takumau/AD/2005/ronbun1.html
要約
広告は2つの価値を創らなければならない。1つはその企業を好きになってもらう文化的価値。2つはモノを売って利益を得るための経済的価値。前者にはコモンズ・マーケティング。後者にはパーミッション・マーケティングを援用することで2つの価値は最大化される。このコモンズとパーミッションを同時並列的にハンドリングすべしと提案するのが骨子であり、それを本論では両輪駆動マーケティングと呼んでいる。
コモンズ・マーケティングとは通常のマス広告そのものを、CSRやメセナのような「大衆」文化的価値に変換し、消費者に自由に配布・改変させようとする考え方。パーミッション・マーケティングは、顧客の承認を得たうえで嗜好に合った情報サービスをすることで経済的価値を高めようとする考え方で、流行のプロダクト・プレースメントのデメリットを排除し発展させたものだ。
両輪駆動マーケティングの背景は必ずしも現在に焦点を合わせておらず、もう半歩先のユビキタス・ネットワーク社会を前提に考案している。その手順は1.自由気ままなクリエイティブ・コンシューマーの興味をコモンズ・マーケティングで引き付ける。2.パーミッション・マーケティングで囲い込んで彼らをロイヤルカスタマー化する。3.両輪駆動マーケティングでロイヤルコミュニティを創出させる というものだ。
そもそもマーケティングの原理原則は「消費者は神様」「顧客志向だからモノは売れる」というコンセプトであり、その究極はすべて顧客のオーダーメイドに仕立てあげるパーミッション・マーケティングを基礎とする。本論が挑む「広告の挑戦」とは、それはそれで尊重しつつもう方輪で「消費者はパートナー」「共有志向だからモノを一緒に創る」という見方を導入する点にあり、その表現手段としてコモンズ・マーケティングを提唱している。
ここで書いてることはこういう流れになってほしいし、もちろん自分でも実践するのですが、すでに私の関心は別のところへ向かっています。「利己的な貢献」の話とか、コミュニティという側面から見ればSNSの可能性も考えてます。とりあえず広告にべったり過ぎたので、とうぶん離れたいです。