2009-01-01から1年間の記事一覧

2009の結果

ぼくは1月1日のエントリで、2009年は引きこもりつつプラグマティックに生きたいと言った。その目標はまるで達成されていないと言ってよい。引きこもるどころか頻繁に出かけてあらゆる人と対話したり、プラグマティックというより単に現実的であり、作業労働…

啓蒙かまぼこ新聞

小説家の中島らも。彼がコピーライターだった時代の代表作に『啓蒙かまぼこ新聞』という伝説の雑誌広告がある。2ページの見開きで、カネテツデリカフーズのかまぼこをネタにして、商品とは何の関係もない、中島らものふざけたエッセイや4コママンガ、読者…

レイバーワーク

沢山遼『レイバーワーク:カール・アンドレにおける制作の概念』を読んだ。この論文は美術手帖が主宰する芸術評論賞の第一席(グランプリ)を受賞している。ちなみに面識はないが沢山さんは私の大学の、そして同じ学科の後輩である。生まれて10年足らずの学…

集まる創発と群がる創出

ある論文を書き終えて、ほっと一息している。ブログをさぼってTwitterばかりやってたので、そこで貯めたメモをブログで書いていくことにしよう。それにしてもTwitterを試していて確信したのだが、私はTwitterそのものは否定しないのだが、Twitterに群がって…

アクセス数とブックマーク数

こんにちは。論文の執筆が滞ってて、なかなかブログを書く余裕がなくなってるtakumauです。しかしこの間、いろんな本を読んでヒントを得たので、論文が終わったらそのエッセンスをちょこちょこ書いてみたいと思います。 ところでひさびさにブログのアクセス…

アイ・ウェイウェイ展

ひさびさに美術熱が高まっているtakumauです。 森美術館で「アイ・ウェイウェイ展― 何に因って?」を観てきました。スライドショーはこちらです。アイ・ウェイウェイは中国の現代美術家のスター。北京オリンピックのスタジアム「鳥の巣」を考えたのはウェイ…

愛について100の物語

夏休みをつかって、金沢21世紀美術館で開催された「愛についての100の物語」を観てきました。高校の先輩である照屋勇賢さんの作品を観たかったのですが、Zone2の展示は7月までだったので終了・・・。川上未映子のポエムも7月だったようで、なんのために行っ…

アプリ導入

こんにちは。齢28が近くなった今から、デザイナーを目指そうかと企んでしまい「とりあえず・・・Macのソフトを買おう!」と意気込んでいる専門学校に入るまえの浪人生の気持ちとなんら変わることのない若い子ぶりっこの takumauです。 この年になって違法DL…

文字の認識

ケンブリッジ大学のある研究員が行っている認知心理学っぽい研究が、2ちゃんねるで話題になっているそうです。人間は文字を読むとき、ある程度の文字列が入れ替わっても、普通に元通りの文章のまま読めてしまうという実験があるらしい。例えばこんな文章。 …

マクルーハン再考 3

2008年に休刊になったInterCommunicationの最終65号で、東京芸術大学の佐藤雅彦は、ある意味体系を含んだ物理的信号のことを情報だと定義し、その情報を送り手と受け手のあいだで意味を共有させる行為をコミュニケーションだと定義した。そこで佐藤との対談…

フロー型のアーキテクトを批判する

Twitterを試してみました。こちらから私のIDにアクセスできます。私の心のなかのつぶやきがそのままあらわになっているので、あまり見ないでいただきたいものです。ここで書いていることはすべてネタということで・・・(1割くらい本気が混じってますがww…

広告白書2009

日経広告研究所から『広告白書2009』が発売されました。私はインターネット関連の項目を担当しています。 2008年から現在にかけての最も大きな変動は、日本の総ページビュー数がはじめて減少したにも関わらず、逆に総利用時間が向上したことがあげられるでし…

物語論から表現論へ 4

表現論の分析と名付けながら、実際にやっているのは京都アニメーション(略称:京アニ)の太鼓持ちばかりをしているが、実際に京アニこそが表現レベルにおいて評価されるべき作品を数多く残しているから仕方がない。では開きなおって、京アニの優れたところ…

物語論から表現論へ 3

『涼宮ハルヒの憂鬱』の第二シーズンが始まった。このアニメではとんでもない実験が行われていて、呆然とした。第13話と第14話の構成と脚本を寸分足りとも同じにとどめながら、セリフ回しを少しだけ変えつつ、演出をガラリと変えることで作品を成立させてし…

物語論から表現論へ 2

アニメ『けいおん!』のオープニングをずっとずっと、永遠にループしていて、何千回見たのかわからなくなってきた。この90秒には表現で表現すべきことはなにか、そのすべてが詰まっているような気がする。もはや批評ができない状態になっているわけだ。批評…

物語論から表現論へ

YouTubeに音声を吹き込んで『けいおん!』について語ってみました。テクストで書けない分析があれば、なにもテクストで書く必要はないんじゃないかと思い、下手くそなしゃべりで記述したというわけです。けっこう簡単にできるので、今後も試してみたいと思い…

糸井重里と約束3

新しい広告のあり方を探る会議にて、新しいプランニングの流れを作っていた。結局は昔から試されてきたフレームそのものになってしまい、なるほど偉人を乗り越えるとはなかなか難しいものだなと改めて実感していた。しかしながらここで私は徹底して守ったの…

メタフィジカルな生成力の環境

『思想地図 vol.3』におさめられた「アーキテクチャと思考の場所」というシンポジウムの再録を読んだ。このなかで建築家の磯崎新は、メタフィジカル(形而上学的)なものを いかにしてフィジカル(物理学的)に落とすかが問題だ、という主旨の発言をしている…

ビジュアル国語辞典

R25で「ビジュアル国語辞典」という企画をやっています。日テレで1回限りの60秒CMも放送したそうです。基本的に映像コンテンツですが、これは大変すばらしい。驚きました。私がやりたいことは正にこのような仕事です。 まず第一にこの仕事は、商品から出発せ…

三十三の謎

「ひぐらしのなく頃に 絆 第三巻・螺」が2009/5/28(木)に発売されます。発売に伴いスペシャルサイト「三十三の謎」を開始しました。毎日、ひぐらしの謎をテーマにした動画とTIPSを掲載していきます。5/19から6/19まで33日間、毎日更新されます。テレビCM、…

Yooouuu Tuuube

「Yooouuu Tuuube」という動画変換サービスがおもしろい。うちの会社の人に教えてもらいました。これはYouTubeの動画をマルチフレームの動画に変換してくれるもの。ひとつずつのフレームに少し時間差をつけるので、波がうごめいているように見えます。バンザ…

2つの約束

「約束」は、現在において極めて重要なキータームになりうる。そのために私は糸井重里という人物を通して、これからの広告表現の本質を、約束という視点から再定義しようと試みていた。しかしながら約束とは、あらゆる表象、そして表現行為においても。ひい…

影響を受けた表現

これまで私が人生で最も感動した「表現」とはなにか、振り返ってみたくなった。5つあげるなら、迷いなくこの5つだろう。 1.スタンリー・キューブリック『時計仕掛けのオレンジ』 私の源流には、キューブリックが息づいている。雑誌「SMART」を読んでたら…

余地を残した物語

わざとNGシーンを取り込むテレビCMが増えている。 例えば「タンスにゴン」のCMでは、左のうさぎが途中でバランスを崩しながら踏んばる様子をそのままワンカットで撮り続けている。 「ラッキーサイダー」のCMでは、佐々木希がポージングしながらも、…

ソーシャルタギング4

第2回目のエントリで、タギングはカテゴリの概念と何がどう異なるのかという課題を残した。そのための手引きにしたいのは濱野智史による「ニコニコ動画の生成力」という論考である。濱野はクリエイティブのあり方を、創造力と生成力に分けている。そしてニコ…

美術に投資

超忙しい合い間をくぐりぬけて、「アートフェア東京」と「101東京コンテンポラリーアートフェア」の展示会に行ってきました。展示即売会だとかギャラリーフェアみたいなもので、ほとんどすべての作品に値札がついてます。株やらFXやるより、美術に投資したほ…

“読む”から“詠む”へ

どうも私は失語症なのではないだろうか。本はたくさん読むが、記憶に残らない。文字と文字の連なりがない。三島由紀夫をあれほど貪り食ったのに何一つその物語を覚えていない。キーワードを断片にして脳にストックし、たまに閃光のようにその霊験が降りてく…

20世紀少年・21世紀少年

この文章は『20世紀少年』『21世紀少年』の重要なネタバレを記述しています。よく注意してお読み下さい。 浦沢直樹の『20世紀少年』『21世紀少年』を読んだ。この作品は竜騎士07の『ひぐらしのなく頃に』『ひぐらしのなく頃に 解』と極めて似た構造を抱えた…

改造スパルタンX

こんにちは。ゲームを買わずにプレイもせずに、ニコニコ動画のプレイ動画を視聴してゲームをやった気になっている痛い子のtakumauです。 「SmaStation」でゲストとして出演し「ゲームをやるために生まれてきました!」とのたまったり「俺、高橋名人より連射…

糸井重里と約束2

発話はパフォーマティブ(行為遂行的)なものとコンスタティブ(事実確認的)なものに分かれている。例えば雑誌をパラパラとめくっている時に、Aくんが「このページは広告である」と発言したとする。これはコンスタティブな発話である。なぜか。そのページが…