16×ひぐらしのなく頃に4

16歳の少女が父親を殺害した事件で、凶器は斧だったことから事情聴取したところ、『ひぐらしのなく頃に』を参考にしたという供述がありました。その供述を待たずして、ひぐらしのアニメ放送は今週中止となりましたが、この発言により打ち切りは免れないでしょう。少なくとも長期に渡る凍結です。『スクールデイズ』も最終話の放送が中止されました。
しかしながら。宮崎勤の事件からずっと、アニメやゲームによるオタクマインド、つまり妄想癖と、殺人の衝動は関連付けられてきました。マスコミの報道姿勢にオタクたちは大抗議を続けてきましたし、その連関性を否定してきましたが、この事件により、否が応にも連関性は立証されたのかもしれません。

ここで思い出すのは、阿部和重の『ニッポニアニッポン』という小説です。この作品はオタク的想像力とインフラを持ってして 国家の宝であるトキの殺害という犯罪へと昇華させることをモチーフにしていました。阿部はその想像と実行の結びつきをまったく自然主義的に描いてましたが、オタク的想像力は犯罪性を生み出す高い可能性については否定できないと思います。
三島由紀夫の『金閣寺』は、欲望の対象がオリジンな造形物に向かっていましたが、現代では、シミュラークルな造形物に移行しているようです。マニアからオタクへの時代的推移なのでしょう。『クレイモア』まで放送中止にならないことを祈ります。

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

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