2×ホリスティック・コミュニケーション

専門誌を歩き読みしていたら、電通インタラクティブ局のおっさんが、ウェブ広告の考え方についてピンとくる話をしている。

「みんな」に向けて放つのがオーソライズド・バリュー型。対して「あなた」に向けるのがパーソナライズド・バリュー型。で、この2つを組み合わせた統合的プロモーションがいっちゃん効きまっせ、というわけ。

これはポストモダン状況下の現実と欲望が、ビジネスモデルにまで顕著に現れた好例だと思う。つまり俺が!私が!とたくさんの小部屋で叫ぶくせに、欠けてしまった横のつながり(→大きな物語)には異様に執着する姿勢がよく見て取れる。


おっさんの言を続けよう。いわく、
「消費者間の情報の共有をも考慮した全体論的な情報管理の地形をつくり、山頂に落とした雨粒(情報)が様々なルートを辿って、最終的にはロイヤル・カスタマーを生みだすよう誘導する。それがホリスティック・コミュニケーションです。」

「言い換えれば、商品が売れるための情報環境をコーディネートする力、すなわち宣伝部とマーケティング部を融合したようなセクションが企業に求められているということであり、消費者と直接コンタクトできるWebコミュニケーションをはじめ、ホリスティックなアプローチを行っていくことが重要。」


ムズかしく言うなぁ。要は企業のおっさん体質が変わらなきゃアカンってこと。手前の商品だからって我が子のように可愛がらず、お客さんという千尋の谷に突き落とすべきだと。それが結局はムスコが育つわけですな。ええこと言います。

しかしながら近年、形而上学だけで交わされていた概念が現場レベルにも浸透してきた例がちらほら聞こえてくる。上記はビジネスの話だけど、例えば著作権の共有化を目指す『クリエイティブ・コモンズ』なんかは勝手にユーザー同士で盛り上がったりしてる。なにも理論書を読まずとも、普段あるいてる道を振り返れば学べるモノがたくさん転がっているってことなんですね。