8×のまネコ

Winnyに続きWinMXのサイトも閉鎖された*1。それはまぁ予測されたことだが、P2Pソフトを削除するツールまで配られはじめたのには驚いた*2。そしてGoogleもまた、著作権侵害として出版社や報道機関から提訴されている*3

このように著作権とは徹底的に擁護されるべきだ、というベクトルは急速に進行し、もはや止めようもない。ぼくは個人的には文化というものは守られるべきものでなく、開放し、すべてパブリック・ドメインに還すというアナーキーさを志向しているが、それは守るべき家族がいない独り者の戯言なのかもしれない。だから企業が権利にしがみつき、自社文化を囲い込みたがるのは仕方ないと諦めている。そうすることで法と市場のバランスは保たれるし、著作者へのインセンティブが確保できるという理屈はよくわかるからだ。


かといって公共財を勝手に盗みとり、自分のものだと主張して、商標という法によって他者の介入をシャットアウトしてよいか、といえばそうではあるまい。だがCCCDなど悪質な手口で利権を貪り尽くす悪名高きエイベックスは、それをやってしまった。これはエイベックスにとってかつてない危機であり誤算だった。

まずエイベックスは『恋のマイアヒ』という曲のプロモーションのために、2ちゃんねるモナーを借用した。モナーFLASHを作った女性にコンタクトし、そのFLASHをプロモーションビデオとして使った。そこまでは良い。むしろよくやったな、と褒めさえしよう。だが遺憾であったのは、そのモナーを自社オリジナルのキャラクター「のまネコ」として商標登録したからだ。

彼らは法律違反こそしていないが、致命的な道徳違反を犯してしまった。時に道徳は法よりも罪が重くなる。

もう大分修正されてしまったが、当初発表された下の公式見解は「インスパイアされたオリジナルだ」等とのたまう、すさまじい非常識さ加減に溢れた文面だった。まぁ今でも十分バカなので、ここに吊るしておく。

■「のまネコ」に関するエイベックス公式見解
http://ecweb1.avexnet.or.jp/sa4web/050908noma.htm


以上の状況を経て、2ちゃんねるの管理人である西村博之は、浜崎あゆみのシンボルマークを真似た「のまタコ」キャラ作ってもいいよね?という主旨の公開質問状を、9月24日付けでエイベックスに送った。かなり皮肉に満ちた文面でユニークではあるが、泥沼化しないか心配だ。もはやこれは市民vs企業の権利戦争に発展してしまったからだ。もちろんエイベックス側がパールハーバーであることは言うまでもない。

■「のまタコ」キャラ展開? ひろゆき氏、エイベックスに公開質問状
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0509/25/news001.html

 

*1:ITmediaニュース「訴訟の影響受け、WinMXなどP2Pサイトが閉鎖」
  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0509/22/news031.html

*2:ITmediaニュース「音楽業界団体、P2Pソフト削除ツールを無料配布」
  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0509/23/news005.html

*3:ITmediaニュース「米作家団体がGoogle著作権侵害で提訴」
   http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0509/21/news079.html