13×ゲーム的リアリズムの誕生
東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』を読んだ。
本書において東は重要な示唆をいくつも提示しているが、とりわけ鮮麗だったのは自然主義的読解から環境分析的読解への変遷、あるいは並存についての記述だ。これは一瞥すると作家性を除外し、作品の自然主義的リアリズムのみを際立たせて読んだテクスト分析の批判にも見えるが、それはまったくの誤りだ。環境分析的読解はむしろテクスト分析の正当な継承であり、進化のように捉えられはしないか。
つまり、これからテクストという概念自体が、物語とメタ物語(データベース)による二重性を担保した事物となってくる。その先鋭が幾つかのキャラクター小説や美少女ゲームに顕著なのだ。したがってその読み手であるオタクたちは、オブジェクトレベルでの没入とメタレベルでの乖離、大澤真幸の語録を借りれば「アイロニカルな没入」という複眼性を兼ね備えている。そして優れたキャラクター小説や美少女ゲームは、感情のメタ物語的な詐術を張り巡らせた後、ひとつの揺るぎない決断を我々に突きつける。その決定力こそが、ポストモダンに生きる動物的人間への新しい実存と文学観を示している、と東は分析を行っている。
と、ここまで書いてもなんのことかよくわからないだろう。個人的に気になったポイントだけメモしたつもりなので、後日詳細にレポーティングしたいと思う。
ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)
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